水槽用のろ過装置でとっても手軽に使用できるのが外掛けフィルタ。外掛けフィルタ用はカートリッジ(マット)が簡単に交換できるので、とっても便利な商品です。この外掛けフィルタ用のカートリッジには、殆どの商品に活性炭が入っていますよね。今日はこの活性炭について考えてみたいと思います。
活性炭ってメリットもあるけどデメリットもあるって聞いたんだけどなぁ・・・
実際のところはどうなんでしょう?
活性炭を水槽内で使用することに関しては以前から賛否両論ですよね。でも、根も葉もない噂が勝手に独り歩きしてしまっているような気がしないでもありません。ちなみに、外掛けフィルタ用の交換マットはこんなやつです。
というわけで、今日は
水槽内で活性炭を使ったらデメリットがあるって本当?
というテーマを取り上げてみたいと思います。外掛けフィルタのカートリッジはどのメーカーも3ヶ月を目安に交換するようにと書かれています。交換しなければデメリットがあるのでしょうか?まずは水槽内に活性炭を入れて使用する目的は何なのかというところから考え直してみましょう。
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水槽に入れた活性炭のデメリットとは?
アクアリウムを始めた頃に
と感じたことが二度ありました。一度目は流木の茶色い灰汁で困っていた時。二度目が油膜で困っていた時も効果を感じました。油膜については、本当に活性炭の効果なのか否かははっきりとわかりませんでした。しかし、油膜の原因物質を吸着できると考えると納得です。
油膜についての詳しいことはこちらの記事をご覧ください。
流木の灰汁については、煮沸したり、長期間水に浸けたりという工夫をされると思いますが、それでもなかなか無くならない場合ってありますよね。そんな時には活性炭が効果を発揮してくれます。
ちょっと解り辛いですが、外掛けフィルターで流木の灰汁で茶色く着色されていた飼育水が徐々に透明に近付いていましたね。最後の高級活性炭の効果がわかりませんでしたが、元々外掛けフィルターには活性炭が使用されているのでその活性炭の効果が大きいのではないかと考えます。
活性炭は使い方によっては凄く効果を実感できることがわかりました。しかし、水槽内に入れて濾材として使用するという事に関しては、少々疑問が残ります。実は、大きなデメリットがありました。
私が考える活性炭の最も大きなデメリットは
- 水中のアンモニアを殆ど吸着しない
ということです。良く言われる
というのは真っ赤なウソ。確かに飽和した活性炭は吸着した物質を放出をしますが、放出と吸着を繰り返している為、プラマイゼロ。ですから、特にデメリットとは考えません。
それよりも、
なんて考えて活性炭を使用しても何の意味もないということの方が問題ではないかと。
活性炭は空気中のアンモニアを吸着することは良く知られていますが、実は水に溶け込んだアンモニア(アンモニウムイオン)については殆ど吸着できないのです。
但し、水中でも気体のアンモニアの場合は吸着され易いので、アンモニアに対して全く意味が無いというわけではありません。しかし、水槽内に限って言えば、殆どのアンモニアが水に溶け込んでいる状態。
外掛けフィルターなどの濾過装置に期待するのは、生体にとって有毒な水中のアンモニアを除去することですよね。それを期待して活性炭を使用しているのに、実際は殆ど役に立たないということになります。
ちょっとびっくりしませんか?
ですから、ベテランの方達が外掛けフィルターを使用する時には活性炭を抜き取って使用したり、活性炭以外の濾材を入れたりしているということも納得です。
という疑問が湧きますが、意味が無いわけではありません。
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水槽内の活性炭の役割りは?
活性炭というのは、正に自然が生んだ公害防止グッズと言えるでしょう。様々な有害物質を吸着するというイメージがありますよね。実際、誤って毒物を摂取した時の処理としても活性炭が活用されているそうです。
活性炭と言っても、その吸着原理が良くわかっていなかったので調べてみたところ、
活性炭の表面は非極性の性質を持つため、「水」のような「極性をもつ分子」は吸着しにくく、逆に「粒状の有機物(非極性分子)」のように取り除きたい物質を選択的に吸着する特性を持つ。
と書かれていました。表現が解り難いかもしれませんが、水中のアンモニアや亜硝酸塩を吸着してくれることはないということですね。
逆に、水質汚染物質と言われるような農薬や有機化合物に関しては吸着・除去が可能ということになります。そして、臭いや着色物質の除去も得意分野ということです。
つまり、我々が濾過装置に期待しているような役割とは全く違うということです。しかし、活性炭にはもう一つ重要な役割がありました。それは、生物濾過の濾材としての役割りです。
活性炭は多孔質な物質です。多孔質で表面積が非常に大きい物質なのです。つまり、微生物が棲みつき易い形状ということ。
ちなみに、我が家には2年以上も放置している外掛けフィルターの活性炭がありますが、特に問題無く濾過が行われているようです。試験薬などで調べてみても、アンモニアと亜硝酸は検出されません。
メーカーとしては、
ということですが、それは活性炭の吸着特性を考慮しての見解でしょう。
しかし、活性炭としての役割を終えても、生物濾過の濾材として使用するということなら3ヶ月という交換時期に拘る必要は無いのではないかと考えます。
まとめ
今日は水槽内の水質浄化の為に良く使用されている活性炭のデメリットについて考えてみました。活性炭と言うと万能なイメージがありましたが、実はそうではなかったということがわかりましたね。
私も活性炭については全く知識がなかったので、水槽内のアンモニアを吸着できないということを知って驚いてしまいました。
気を取り直して今日の記事を振り返ってみましょう。
活性炭のデメリットは
- アンモニウムイオン
- 亜硝酸
などの水溶性の物質を吸着することは殆どありません。逆に、
- 農薬
- 有機化合物
- 着色物質
- 臭い
に関しては積極的に吸着してくれることがわかりました。脱臭・脱色をしてくれるのはとても有り難いことだと思います。しかし、本来、水槽内に入れた活性炭に期待していた働きとは違います。
しかし、逆に期待していなかった生物濾過の可能性については大いに期待できるのではないかと考えます。
今回の件では、活性炭という物質を通じて、アクアリウムには正しい知識が必要だということを再認識させられましたね。
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